2024/05/28  
ケーブルを選ぶうえで最初に見るべきこと

あなたがケーブル買うとして、何を重視して買いますか?

初心者の人はおそらく抵抗値を減らそうと太い導体のものを選ぶ人が多いと思います。

誰しも一番最初に抵抗値を減らそうと考えるものだからです。特に初心者の人は「ダンピングファクターが〜」という情報を手に入れて抵抗値で選びがちです。ですが、これは間違いです。実際は導体の太いケーブルは表皮効果や撚り線の芯線数が増加してデメリットの方が大きいのです。太い線の方がより多くの材料を使うので値段も高くなります。その結果、値段が高い方が音が悪いというバカげたことが起きています。

こういうの作ってるメーカーは、ユーザー側が勝手に勘違いして太くて抵抗値の低いケーブルを望むから作って、それが売れて、需要があるからさらに作る。別に音が良いから高い値段で出しているわけではない。すべてのメーカーがそうではありませんが、需要があるから作ってるだけで、音には責任を持たないメーカーが散見されるのも事実です。

なので、単純に「値段が高いから上のグレード=音が良い」とは思わないほうが良いです。値段が高いケーブルは大量の資源と労力を使っていることには違いないとは思いますが、それが音の良し悪しに繋がるかは別問題です。



私がケーブルを選ぶ時に最初に見るのは、単線か撚線か。撚線なら撚線数を見ます。

単線はクッキリとした音で、撚線はぼやけます。撚線数が多ければ多いほどぼやけます。一般的に導体断面積の大きなケーブルは撚線数が増えていくので、「ダンピングファクターが〜」を気にして導体断面積の多いケーブルを選ぶとぼやけた音のケーブルを手にする可能性が高いでしょう。さらに3.5sqとか5.5sqなど導体断面積の大きなケーブルは表皮効果の影響を受けて低音寄り(に聴こえる)癖のある音になるので選ばないほうが無難です。

この記事は上級者向けなのでこれくらいのことは当然知っていると思います。こんな初歩的なこと説明してんの?と思われたかもしれませんが、一応順番に説明しないといけないのでね。



撚線がぼやける理由は数多くのメーカーが主張していますが、電流が導体同士の接触面を飛び越える時に生じるノイズ成分でしょう。撚線数が増えると接触面も増えますから、生じるノイズ成分も大きくなっていくという理屈です。
もう一つが、撚線は表面がガタガタなので、そのせいで電気信号が乱れるということです。表皮効果のところで詳しく書きますが、電流は導体の中を通りますが、電圧の変化は電磁波として導体の周りを這って伝わります。その時に表面がガタガタだと電気信号が乱れてしまうということです。
リッツ線にすれば、電流のジャンプ現象は解決しますが、表面がガタガタしていることで電気信号が乱れる問題は解決しません。リッツ線も完ぺきではないということです。

では、撚線なら何本までなら許容して良いかですが、これは人によるとしか言えませんが、私の感覚だと、

撚線で音質を追求するなら7本程度の撚線数の少ない準単線にすべき。
20本。他に選択肢がないなら、まぁしょうがないよね。
50本程度なら、これ以外選択肢がなくて選べないなら我慢してやっと許容できるレベル。
70本・・・この辺りから撚線のぼやけが顕著に出はじめると思う。基本使いたくない。
100本越え。論外。

といった感じです。

自作して16本撚り、32本撚りにして、「音がモコモコになった」という話を聞きますが、そりゃあからさまに撚線数増えて、劣化要素が増えますからね。「多芯にして本数を増やしたほうがえらい」と思ってそうしているんでしょうが、多芯にしたことで劣化要素が増えて悪化するパラメーターもあるので、多芯が必ず高音質とは限らないのです。

また、単線にすると音が荒くなったという話を聞きますが、それは音がくっきりしたことでスピーカーやアンプなど他の部分の粗が顕在化したか、ケーブル自体に問題があるなら、絶縁体のクオリティー、導体の平滑度や方向性など他の要素によるものでしょう。単線だからという理由で音が荒くなることはありません。



上で「ダンピングファクター」についても触れたので、どのくらいの導体量がいるかについても書いておきます。
と言っても、限界まで細い線を使って試したことがないので、この長さでこの細さまでならOKみたいなことは言えません。どのみち抵抗値よりも撚線単線の違いの方が遥かに効くので、自分の中で抵抗値の優先順位はかなり低いわけです。

理論的にはダンピングファクター10以上あれば周波数特性にはほとんど影響は与えないことになっているので、それを基準にするなら6Ωのスピーカーなら0.6Ω以下の抵抗値なら良いということになります。

2sq,4mの銅ケーブルだと抵抗は0.0688Ω
0.5sq,4mの銅ケーブルだと抵抗は0.2752Ω

なので、接触抵抗を考慮しなければ、どちらも問題ない抵抗値と言って良いでしょう。私が試した中だと0.5sqが一番小さいと思いますが、弊害はそこまで感じなかったので0.5sq以上であれば問題ないと考えて良さそうです。0.5sq以下は試したことがないので、それ以下のsq数については言及できませんが、多くのSPケーブルは0.5sq以上あるので、SPケーブルを選ぶ際に抵抗は気にしなくて良いというという結論は変わらないでしょう。ただし、多芯の場合はその限りではありませんが、導体量が2sqを超えてくると表皮効果の影響を受けて低音寄り(に聴こえる)癖のある音になるので、そういうのは選ばないほうが無難です。
もし、2sq以上のケーブルが欲しい場合は多芯のものにしましょう。もっとも2sq以上の導体量を確保したところでそのメリットはないと思いますがね。